施工者について

※ 本ページは工事中です。

  現在は骨子のみですが,今後,施工者に関する一般的な法律上の論点を概説する予定

  です。

1 契約


→ 請負契約

【標準約款】

   公共工事標準請負契約約款

民間建設工事標準請負契約約款(中央建設業審議会)

③民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款

    ・瑕疵担保責任の除斥期間の短縮(後述)

     ・請負代金譲渡禁止特約

     ・工期変更条項(現在は一方的変更は不可)

     ・損害賠償予定額(請負代金未払に対する違約金は年10%)

・紛争が生じた場合、建設工事紛争審査会のあっせんまたは調停による(①②)


2 建物の完成、未完成


(1)判断基準:工事が予定された最後の工程まで終了しているか否か

 「請負工事が途中で廃せられ予定された最後の工程を終えない場合は工事の未完成に該当し、請負工事が予定された最終の工程まで一応終了し、ただそれが不完全で修補を要する場合は仕事の目的物にかしあるときに該当する」(東京高判昭和36.12.20


(2)具体的な影響

  報酬について  未完成 → 支払義務なし

          完成  → 支払義務あり

  瑕疵について  未完成 → 債務不履行責任

          完成  → 瑕疵担保責任

          ※一旦仕事が完成すれば、それが不完全なものであっても、請負者は瑕疵担保責任のみを負い、債務不履行責任を負わない。

 

3 瑕疵担保責任

 

(1)瑕疵担保責任の除斥期間


  【民法】(任意規定)

 原則 引渡しから1年(民法637条1項)

    →建物その他の土地の工作物の場合 5年

     石造、土造、レンガ造。コンクリート造、金属造等 10年

  【上記の3つの約款】

    → 木造  1年

      石造、土造、レンガ造。コンクリート造、金属造等 2年

        (最高裁昭和49.3.28判決で上記約款は有効とされている)

  【住宅の品質確保の促進等に関する法律】

    → 住宅新築工事において、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵   10年 


(2)瑕疵をめぐるトラブル


 ア「瑕疵」:「目的物に瑕疵があるとは、完成された仕事が契約で定めたとおりでなく、使用価値もしくは交換価値を減少させる欠点があるか、または当事者があらかじめ定めた性質を欠くなど-不完全な点を有することである」(我妻「債権各論中巻二」631頁)

  ⇔これまでは、契約書や設計図書があり、そこに基準が合意されているとしても、それよりも緩やかな建築基準関係規定を瑕疵の判断基準とする判例も多かった。


 イ 最高裁判所平成151010日判決

   建築基準法の基準を満たしているが、約定には反する工事につき、瑕疵(かし)があるとした事例

   「本件請負契約においては、YおよびX間で、本件建物の耐震性を高め、耐震性の面でより安全性の高い建物にするため、南棟の主柱につき断面300mm×300mmの鉄骨を使用することが、特に約定され、これが契約の重要な内容となっていたものというべきである。そうすると、この約定に違反して、同250mm×250mmの鉄骨を使用して施工された南棟の主柱の工事には、瑕疵があるものというべきである。


 ウ 判断基準のまとめ(判タ114810頁)

  ・「瑕疵」:請負契約で定めた工事内容と異なる施工がなされたことと考える

  ・瑕疵の判断基準

   ① 合意内容が明確である場合にはそれによる

   ② 合意内容が不明確である場合には合理的ないし解釈を行うが、その際に最低限度の基準としての建築基準法令等が基準となることが多い。

例)公共建築工事標準仕様書

JASS(日本建築学会の建築工事標準仕様書)

住宅金融支援機構の「住宅工事仕様書」

 

4 追加変更工事をめぐるトラブル


(1)紛争の原因

  ・請負人の説明不足

  ・本工事の見積書、契約書、仕様書等の書面が作成されていないか、記載内容が不十分なため、本工事の範囲が不明確な場合

  ・追加変更工事自体の契約書・見積書の不備

   (現場での口約束によることが多々ある。)

  ・相当な工事金額の積算の困難性


(2)主張・立証上の留意点(合意の成否)

  ・立証は請負人が行う。

  ・合意の成否のみならず、相当な金額の主張立証をする。

  ・複数の図面や見積書の来歴は重要(証拠説明書でも作成経緯を記載)

・事前の見積書の交付があれば、合意あり、と推認されることが多い。

→東京地判平成19.6.29 12参照

・設計図書や元の見積書にないものを施工業者が自分に不利益になるようにサービスで工事することは考えられにくいので、設計図書や見積書に記載されていないものが施工されていれば、追加変更工事あり、と認められることがある。

→東京地判平成19.6.29 567参照